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ただし、真に残念ながら、お互い別々の高校に通っている。
いや、本当は咲自身、俺と同じ門崎高校を受験しようとしていたのだが、母親が勝手に現在通っている高校に願書を出してしまっていたらしく、泣く泣くそこを受験したわけだ。
ちなみに、我が妹は俺よりも遥かに賢いです、はい。
そんな咲は俺が学校から帰ると、部屋に入ってきて、今日学校であった一日の出来事を話すのが日課になっている。
普通の兄妹なら有り得ないかもしれないが、これがうちでは普通のことだ。
「でねっ、でねっ。」
咲は可愛らしく話している。
うん、幸せだ。
「はっ。」
その時、ドアの方から殺気を帯びた視線を感じた。
「俊樹。咲。」
視線の犯人は、開いたドアから覗いている母親という名の背徳者だった。
「お、お母さん。」
咲が怯えている。
そんな咲を庇うように俺は母親に言った。
「何の用だよ。」
「晩御飯よ。」
ディナータイム!!
「ならもっと普通に入って来てくれよ。」
「だって、俊樹が咲にばかり優しくするからおもしろくなくて。」
母親は不満たっぷりといった感じで唇を尖らせた。
「当たり前だ。咲は妹。お母さんは母親だろ。」
「そんなの関係ないわ。私だって女よ。大切にされたいじゃない。」
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