第一章 “神に呪われし者”

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「風よ、猛れ。ブライアル!」 それまで少しも風のなかった谷に、突如、風が吹き荒れた。 驚いた鳥達が、騒がしい音をたてながら、周りの鬱蒼と茂る木々から、夜が明けて間もない空へ飛びたっていった。 濃い青色の少しくたびれたローブに身を包み、細身で黒金色の髪をした、まだ若い男が呪文を唱えたようだ。 男から放たれた風は、木の裏に隠れていた魔導師風の男を、隠れていた木ごと吹き飛ばした。 魔導師風の男は不意打ちをしようとしていたのだが、ローブの男は背後の敵に気付いていたらしく、敵が仕掛ける前に振り向きざま、呪文を放ったのだった。 吹き飛んだ男は逆に不意打ちを受ける形になり、受け身をとれぬまま激しく岩にぶつかり、そのまま動かなくなった。
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