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そんな俺達…多分、メアド交換をした屋上での一件の後の、明くる朝の話。
眠ってしまった藤河さんをベッドに寝かせ、隣に寝ていた俺は、朝になって先に目を覚ました藤河さんに起こされた。
「辻…辻…」
「…ん……藤河…さん…?おはようございます」
眠さよりも、そっと起こされ、昨夜の事を謝られた。
「ごめんな…重かっただろ…」
「大丈夫です♪慣れてますから」
背負われて、藤河さんは1階の端の部屋、俺は2階の端から2番目の位置だったのに、俺の自室に運ばれた事で申し訳なさそうにしていた藤河さんに笑顔で返した。
事実、良く運んでいたので、何時もの事だったのだ。
「確かに辻は良く拉致してるらしいな。俺なら置き去りだわ」
既に有名な様だったが、放置するのは可哀想だと俺は思う。風邪引いてしまうし…。
そんな事を考えながらも、藤河さんに朝御飯をと思い、食べたい物を尋ねると
「オムライス。名前は丸っこい可愛らしい字で平仮名で『vVそぅぃちvV』って書いてな?あ、ハートも忘れずに」
と言う、その外見とは正反対な可愛らしい注文だった。
正直ビックリしたが、それでも料理が好きな俺は、手早くチキンライスを作りフワフワのオムライスを作って、注文通りに『VvそぅぃちvV』と黄色い卵の上に、ケチャップで名前を描き、読める様に藤河さんに向かってオムライスを置いてやる。
「おぉ。注文通り。旨そう。いただきます」
嬉しそうに、子供の様に笑って無心で食べてくれた藤河さんに、作る喜びが満たされたのと同時に、可愛らしい一面を見た事で頬が緩むのを感じていた。
「フフッ…藤河さん、ケチャップ付いてますよ?」
「お?サンキュー」
無心で食べたからか、口の端にケチャップが付いているのにも気付かない藤河さんに手を伸ばし、ティッシュで拭き取ってやると、また嬉しそうに笑ってくれて…。
思えば、この辺りから徐々に藤河さんが皆から愛される可愛らしさが見え始めたのだが…。
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