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俺が『藤河さんはカッコイイけど可愛い』って言うと、本人には『辻、お前眼科行け』だの『目が腐ってる』だの言われるわ、他の友人は『カッコイイのは解るけど、可愛いかぁ…？』と疑問符を投げ付けられるのだが…。
何故そんな食い違いが出るのか。
答えは至極単純で、どうやら俺と居る時だけ雰囲気が違って、他の友人は入り込めなくなるらしい…。
此れは後に、俺が学院に入る前から藤河さんと絡んでいた紅夜から聞いた話だが、藤河さんは紅夜や他の人の前では隙を見せないし、精々お菓子や御飯を口を開けて『くれ』と催促するくらいな為、甘えるのは少なくカッコイイ姿ばかりが目立っていたが、俺と居る時は俺が何でも二つ返事でしてしまうからか、お菓子や御飯は常に
「辻、あ」
と口を開けて待っている。取り分けても待っている事はザラだ。
気分は雛鳥に餌をやる親鳥の様だったが、俺が作ってきた料理を美味しそうに食べてくれる姿に甘やかしてしまっていた。
だが、別にベタベタくっついて居る訳ではなく、話してる内容は至って普通の、時には難しい内容を話しているだけなのだが、紅夜曰く『誰にも邪魔出来ない雰囲気。俺、最初、藤河さんと悠斗さんはデキてると思ってた』そう。
…確かに、出逢う人の殆んどにそれを言われたが…。
藤河さんにはちゃんとした大人の…優しい恋人が居たんだ。勿論、俺はその人の事を話の上でだけだが聞いていたので、そんなカップルになりたい、そう思っていた。
それでも俺と他の友人との雰囲気が違っていたのは事実だった様だけれど…。
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