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この学院には『監視カメラ』が着いていて、生徒や教師、学校関係者、全てが監視カメラに映っている。
映っていると言っても、主に校内外が殆んどで、寮に居る時は映さないでくれている様だけれど…。
そんな機能が付いている為、誰かに逢いたい時はそっと覗いたりすれば逢える寸法だった。
俺は監視カメラに3人の人が映っていた屋上へと急ぎ、一旦ドア前で深呼吸をし、ドアを恐る恐る押し開けた。
「皆さん、こんばんは」
精一杯の笑顔で開口一番に出たのは、確かそんな言葉だった気がする…。
「お、こんばんは」
俺の短い言葉に、最初に反応して笑顔で返事をしてくれた人は、他の2人に挟まれる様にして話しており、その容姿は黒髪黒眼の俺とは真逆で、明るい黄色味を帯びた肩まであるストレートの茶髪を後ろで一つに結び、瞳も色素が薄いのか光の加減で金にも見える茶色…。背も、遠目から見ても他の2人より高い。
「初めまして、俺は辻悠斗です」
近付いて名乗り、改めて並んだ時、結構あるのだと気付いた。
それは俺が、その人の顎の下辺りに頭が来たからだ。
…正直、俺はこの人を見た瞬間、鳥肌が立った…。それは恐怖からとかではなく、遠目からでもキラキラと眩いばかりのオーラが見えたから。
【カリスマ】
そう呼べる人に出逢ったのだと思った。
「辻…ね。宜しくな。俺は藤河。藤河 総一[ふじかわ そういち]。」
「宜しくお願いします!!」
藤河と名乗ったその人は、煙草を吸うその姿すらも様になっていて、その美しい姿とは対象的に、人懐っこそうな笑顔で、俺の差し出した右手を握り返してくれた。
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