玩具?癒し系?

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 翌日、再び監視カメラを覗き、そこに藤河さんの姿を見付けた俺は、考えるより先に見付けた先――屋上に向かって走っていた。 また、藤河さんと話してみたかったから…。 「こんばんは~♪」  2回目だからか、昨日よりは気持ちも多少は軽く、元気にドアを開けた…ら…。 「おぉ、辻。こんばん」 「悠斗さん、こんばんは」 「悠斗、ばんわ」 …そこには昨日のメンバーと、プラス2名が酒盛をしていた。 …学校の屋上で酒盛とは…何とも凄い…。  一瞬、呆気に取られるも、直ぐ様その輪に飛び込んだ。 後に知ったが、それは紅夜が作ったらしいのだが、皆で突っついていたその料理が凄く美味しそうだったから…。  分けて貰った料理を突っつきながら、寒いと言う中学生の可愛らしい後輩に上着を掛けてやったり心配しつつ、何気ない話をして盛り上がり、笑っていたのも束の間。  確かに俺は、藤河さんと沢山話したかったから隣にちゃっかり座ったさ。 だけど、それは場所が其処しか空いてなかったってのも有って…。  気付けば、何故か俺はフェンスに追い詰められていた。 「ふ、藤河さん…な、何で俺を追って来るんですかっ!?」 「辻が逃げるから…なぁ、何で逃げるの?俺、そんなに怖い…?」  ジリジリとフェンスに追い詰められ、後退りしていた為に背中が触れてカシャン…と鳴って…振り向いた時には焦った…。 少し哀しそうに、だけどそれは何処か愉しそうに問い掛けてくる藤河さんの顔が、直ぐ傍にあったから…。  俺の体をフェンスに磔状態…と言っても手を掴まれて居たりはしていながったが、逃がさないとでも言う様に俺の顔の真横からフェンスに両手を着いて、その長い腕の中に俺を閉じ込めた。 「こ、怖くなんてないです…!!」 「そう…?…ん…?辻、顔赤いぞ?熱でもあるのか?」  そう言って、心配そうに俺の顔を覗き込んできた藤河さんと目が合い、何故か恥ずかしさと心配して貰った嬉しさとがない交ぜになった心境で、それも懸命に否定した。
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