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気まずさから時計に視線を移す。
出退表の右隣に置かれたデジタル時計には「19:49」と表示されている。
別に刻まれている時刻自体には興味は無く、次の行動に移る為のポーズとして見たに過ぎない。
一応の確認を終えた後、喫煙を常とする人間が煙草を一吸いする程度の間を置いて、
「あぁ、もうこんな時間なんですね。それでは私はこれで失礼します」
と、切り出した。
ただの思い過ごしかもしれないが、沈黙には、「これ以上聞くな」という拒絶を感じられた。
おそらく、このまま会話を続けても実りのあるものにはならないだろう。
それに彼女を待っている幸福な時間を削る事にもなる。
「お疲れ様です」という橘瞳の声を背にして、外へと続く扉に手を掛けた。
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