18人が本棚に入れています
本棚に追加
扉の外は薄暗い細い路地へと続く。
人影はまばらで、その中に見知った顔はいない。
私の職場があるビルは、駅から多少距離が離れていて、周辺に飲み屋の類いは無い。
あるとすれば、平日にだけ現れる、おでん屋の屋台の赤提灯ぐらいだ。
近隣の企業の多くは週給二日を推奨している為、それに合わせての事だろう。
私は下戸なので数える程しか立ち寄った事はないが、割と繁盛している。
しかし今日は土曜日だから、その姿も無い。
唯一の娯楽を失った通りに足を止める酔客な者はおらず、皆、足早に大通りへと向かう。
私もその内の一人だ。
最初のコメントを投稿しよう!