指輪の感触

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二人分の荒い息遣いが反響して、思考がグラつく。   耳を塞ぐために必要な物が私には無い。     肘から先を失ってから、どれくらいの日々が過ぎただろうか?     もう一度、彼に触れたい。   髪に 頬に 唇に     「あっ……りょ……す……う……はぁ」     言葉にならない想い人の名を姿を心に浮かべながら。     多分、私は泣いている。
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