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は?今何て?
「だからいらないってば」
何て言った?
「もう好きじゃないもん」
もう好きじゃない?
“何を”?
いちごミルク?
それとも“誰を”―――?
「何でっ!!?」
オレはいちごミルクを持った右手を壱花にまだ差し出したまま、どっから出たのかわかんねぇような、すっとんきょうな声で理由を聞いた。
「何でって、好きじゃないもんは好きじゃないもん」
「はぁ~!?ほんじゃあコレどうすんだよ!?」
「どうすんだよって・・・そんなの知らないよ!りゅうちゃんが勝手に買ってきたんでしょ!」
「はぁ~!?お前が好きだっつーからわざわざ」
「だから好きじゃないってば!だいたいわざわざって何よ!あたし頼んだ覚えないし!」
「なっ何だよその言い方は!かっわいくねーなぁっ!!」
「どうせかわいくないもん!嫌ならもう見ないでよ!!」
「はぁ~~!!?」
「もう大声でしゃべらないでよ!恥かしい!!」
「なっ!!~~~~っ!!」
しばらくお互いの睨み合いが続いた。
ちょっと待て、何でケンカになってんだ?
そうじゃないだろ?何のためにいちごミルクなんか買って、何のために一年の教室まで来たんだよ!?
だけど・・・
「・・・あたし、次体育で移動だから―――じゃあね」
ギンギンぶつけ合っていた視線を先に外したのは壱花だった。
プイッと顔を背けるとそのままスタスタ歩いていった。
「・・・っ!」
オレに背中を見せてだんだん遠のいていく壱花を見てると、ギリッと歯軋りをして、グッと拳に力が入った。
それから・・・
「ちょっと・・・
ちょっと待てやこらああ!!」
グワシッ!!
「!?」
後ろから壱花の首根っこを掴んだ。
それから後はいつもと同じ。
「てめえ!調子のんものいいかげんにしろ!!ムカつくんだよ~~~~!!!」
ギリギリギリ~~~!!
「くっくるしっ!じっじぬ~~~~!!!!」
壱花はいちごミルクなんかもういらないって、
もう好きじゃないって言った。
そうだ、言われたのはいちごミルクだ。オレじゃない、オレじゃないぞ!!!
なのに
めちゃくちゃ胸クソわりぃ。
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