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「・・・オレはそうでもあいつは違うかもしんねえじゃん」
オレがボソッと口を尖がらせたままそう言えば、
「ま~たそうゆう拗ねたこと言う!もうお互いの気持ちはわかってんだろ?だったら、もうパシリなんて口実使わなくたってそう言える理由があんだからさ!いつもみたいに言いたいこと言えばいいだけのことだろーが!」
さっきまで笑ってたくせに今度は怒ったような口調でそう言った。
「はぁ!?いつもみたいに?」
「そう!いつもみたいに!オレやゆうすけには言いたいことズケズケ言いまくってんじゃん!そりゃ~もう胸の内からえぐられるような気持ちに何度なったことか!普通の人ならとっくに友達やめてるねッ!」
「はぁ!?どういうことだそりゃ!!」
「つまり!りゅうが素直になれないのは壱花ちゃんの前だけか壱花ちゃんに関わることだけってこと!」
「っ!!」
寛治の答えはオレの質問の答えとは大きくずれてるのに、それでもオレはズコーンと頭の中に衝撃が走る思いがした。
だって!なんか寛治の言い方だ
とまるで・・・まるでオレの唯
一の弱みが―――・・・
「まぁ、なんにしろまず仲直りが先だな~、りゅうだってさっさと仲直りしたいんだろ?壱花ちゃんだってりゅうと同じ気持ちだよ、絶対」
「仲直りとかガキのケンカみたいなこと言ってんじゃねぇ!つか何で絶対とかわかんだよ!?」
「いや、だって・・・あそこ」
「はぁ~?」
寛治の方を見ると寛治はどうやら教室のドアの方向を見ているらしく、しかたないからオレもそっちの方を見るために体を少し動かして寛治と同じ方向に視線を合わせた。
「―――――!」
「ドアのとこ、さっきからチラチラ覗いてんのが見え・・・」
ガタッ!
ダッ・・・ダダダダダ――!!
「・・・・最後まで言う必要なかったか」
何となく寛治がうしろでまた笑ってるような気がした。
だけどそんなことどうでもいい。
今は―――・・・
「――――壱花!!」
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