目眩

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この時の、 りゅうちゃんの隣を歩くあたしは、 今、この瞬間が 目も眩むほど幸せで これまでとは違うあたし達の “これから”に胸をドキドキさせて、 そういうキラキラ輝く世界しか知らなくて、 だからかな、 全然気づかなかった。 どんなに綺麗な夕日も次第に夜の黒にのまれて色を変える。 その黒がどんどん深くなって、 やがて闇になり、 その闇が傷口を覆ってさらに化膿させていくなんてこと…… この時のあたしはまだ知らない。 ねぇりゅうちゃん、 あたし達どこから間違えたのかな? どこからやり直したら失くさずにすんだと思う? それともはじめっから間違えなんかひとつもなくて はじめから―――…… はじめから全部、 あたしの独りよがりの恋だった―――……?    
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