色彩

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「壱花ちゃん」 「はっはい!?」 「今何時か知ってる?」 「うぇ?えええっと~」 「8時47分、さっきチャイム鳴ったよね?コレ、どういうことかわかる?」 「あっ、えと、ちっ遅刻・・」 「だよね、しかもまだ1年生の1学期だよ?俺の言いたいことわかる?」 「うっ・・・すいません!これでも一生懸命走ったんですけど間に合わなくて・・・・」 「はぁ。ダメだ、全然わかってないね、根本的なところが間違ってる。走らなくて良いように起きればいいだけの話でしょ?気持ちがタルんでる証拠だよ」 「そっそれはそうなんですけど起きれなくて・・・って!」 俺が言葉を並べていくごとに、バツの悪そうな顔でだんだんと顔が下がっていってたのに、急にバッと顔を上げてキッと睨みつけてきた。 「なに?」 わかってるけどシレっとした顔をして見てやる。 そうするとほら・・・ 「『なに?』じゃなくて!かっ会長だってここにいるってことは遅刻じゃないですか!!生徒会長が遅刻していいんですか!?」 「はっ、何?学校一偉い生徒会長様に楯突く気?」 「え?学校一偉いのは校長先生じゃ」 「あんなクーラーのきいた涼しい部屋で茶飲んでるハゲのじじいより俺の方がよっぽど学校に労力を貢献してるね。何?それとも壱花ちゃんはあんなハゲのじじいの方が俺よりイイ男だって言いたいわけ?」 「は?いっイイ男?かっ会長っ !話がどんどんずれて―――― って!何でこっちに戻ってくるんですか!?」 さっきの転んだまま、まだその場に座り込んでいた壱花ちゃんにゆっくりゆっくり近づいていく。 「何でって生徒会長に生意気な口きくからお仕置き」 「は!?いやっ!ひっ・・・・いっいやああああああ!!!」 ガシッ! “勘違い”して悲鳴を上げる彼女の腕を掴んでひょいっと体を起こしてやった。 「え?」 ひょうしぬけしたキョトンとした顔で俺を見上げる。 「・・・・足、擦りむいてるよ、消毒しとかないと後でひどい目見るよ」 「え・・・」 壱花ちゃんが一瞬ビクッと顔が引き攣ったのが分った。 だけど気にしてないフリをしてそのまま腕を引っ張って歩き出す。 いつもなら優しいフリをして笑って言える台詞なのに。 他のオンナにならいくらでもそうできるのに。 ホント、ムカつく女。
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