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「・・今笑いませんでした?」
「そう?気のせいじゃない?」
「??」
首をかしげて俺の返答にまだ納得いってない様子の壱花ちゃんを素知らぬフリで棚から出した消毒液のビンに手際よく脱脂綿を浸す。
「それで壱花ちゃん、何で寝坊したわけ?」
「え?」
「期末に向けて今から勉強・・なわけないか」
「『なわけないか』ってどういうことですか?」
「何それ?俺のモノマネ?」
「そっそうですけど!?本人はもっと嫌味~な顔してましたけどね」
「残念、本人はもっと鼻高いし睫長いしニキビなんかないよ」
「うっ!!きっ気にしてたのに~~~;;」
『負けました』と言わんばかりの表情をしながらおでこを手で覆った。
「・・・ふっ」
(今さら遅いって・・・)
「!!」
(あ!まただ!笑われた!!)
自然に緩んだ口元の意味を本人希望の“嫌み”に変えて、消毒液を十分吸った脱脂綿をピンセットでビンから取り出してから続ける。
「で、結局なんで寝坊したわけ?」
「しっ知りません!」
「あ、わかった、瀬田と何かあったんだ、で、興奮してなかなか寝付けなかったとか?いつの間にか眠りについたはいいけどそのまま―――・・・」
え?
カアアアアアア!
「・・・・っ!」
「・・・・・」
ドクン…!
心臓が不愉快に大きく脈打った。
「・・・ふーん。ホントに“何か”あったんだ?」
「やっ!別に!たっただ一緒に公園に行っただけで・・・!」
「へえ、公園?いいじゃん、公園」
「は?え・・あ、はい・・?」
(あれ?もっとツッコんでくるかと・・・)
「・・・・」
「あ、かっ会長!染みると痛いんでゆっくり・・・」
ベチョッ!!
「――――いっ!!」
ベチョベチョベチョ!!
「いっ!いたっ!いたいたいたたっ―――」
ベチョベチョベチョ!!
「いたっいたい!やめっ止めてくだ―――」
「―――はい、終わり!後は自分でできるでしょ?」
「だからゆっくりって言っ――・・・え?」
「じゃ、俺授業あるから先行くけど、ここ、ちゃんと片付けといてね」
「へ?え?は?あっあの――」
ガラガラ―――…
ピシャン!!
「・・・・・・へ?」
(なっ何事!?)
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