色彩

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はぁ。 やっぱり、今日は最後の最後までついてなかった。 きっと、ガラにもなく望んだりしたからだ。 どうして・・・いつもみたいにいかないんだろう? いつもみたいにキレイにリセットできないんだろう? 捨てたのに、本当は何度も何度も捨てようとしてたのに それでもやっぱり戻ってくるんだ。 いや、本当はわかってる。ずっとここにある。どうしたって消えないんだって。 つけられた染みが濃くなってだんだん内へ浸透していってるってことを。 おかしい、黒で埋め尽くされてたはずなのに、いったいどこにそんな隙があるっていうんだ―――・・・ 「ありがとうございました」 ガラッ… 特別明るいわけでも暗いわけでもないない声で挨拶してから病院の診察室のドアを横に引いて外に出た。 「―――あ、会長」 待合室の前に設けられたイスに座っていた壱花ちゃんが俺が診察を終えて出てきたの見ると腰を上げ、心配そうな表情を俺に見せた。だけど彼女の視線はすぐに俺の右腕に移り、それを見た途端ギョッとした顔になり一瞬で顔が青ざめた。 「かっか会長!!みっ右手!!右手の包帯は!?」 「ああ、ただの捻挫だから。あんまり騒がないでくんない?」 「えっ!ででででも・・・!だっ大丈夫なんですか!?」 「だから捻挫だって」 無駄に慌てる壱花ちゃん、それに淡白に返す俺。 テンションの低い俺、テンションの高い壱花ちゃん。 それがやけにイラッとさせる。 「すっすいません!!!あたし を庇って階段から落ちたせいで ―――・・・」 「は?何勘違いしてんの?庇った覚えなんかないけど」 「!!」 しらっとした顔でそう言えば、なんとも気まずそうな苦い表情をしながら顔を赤らめた。 ああ、今はそんな表情ですらイラッとしてくるね。
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