色彩

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「・・・なーんてね」 壱花ちゃんと視線が重ならないように顔を上げて横を向いた。 「・・・へ?」 当然拍子抜けした声を出す壱花ちゃん。 「俺、会計済ませてからタクシーで帰るし、壱花ちゃんもひとりで適当に帰ってね」 それが聞こえてないかのように壱花ちゃんの思考回路の進み具合を無視して続けた。 「え」 「じゃあね」 「かっ会長・・・!?」 壱花ちゃんを置いて先に受け付けの方へと歩き出した。 壱花ちゃんが後ろで俺を呼ぶ声がする。 歩きながら左手で自分の額をおさえた。 壱花ちゃんが俺に聞きたいことや言いたいことがあるのは当然だ。わかってる。 だけど聞いてもあげないし答えてもやらない。 だって、 ただ気が変わっただけ。 壱花ちゃんにはそんな単純な答えをあげるほど俺は優しくない。 そう、本当に気が変わっただけ。 からかうのに飽きたってとこかな? だから・・・ この胸の痛みと目眩は関係ない。 「・・・・・・」 (・・・会長?)  
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