色彩

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散々からかって反応を楽しんで 時には牙をむきそうになって怯えさせて、 そうゆうふうにしかキミを繋ぎ止める術を知らない。 だから俺が檻の錠を外せばキミはきっとさっさと逃げる。そして二度とそこには帰ってこない。 帰ってくるはずがない。 だから まさか次の日の朝・・・ 俺を待ってるなんて思いもしなかった。 「・・・・かっ会長っ」 昇降口のドアの前で立っていたキミ。 たくさんの人の中から俺の顔を見つけるとこっちに歩みよってきたキミ。 「おっおはようございます」 「・・・・おはよう」 堅い、色のない表情のまま 「手、大丈夫ですか?」 「・・・・まぁ」 口だけを事務的に動かすのは俺。 「でもっ・・・利き手がそれじゃ色々不便ですよね?」 「・・・・まぁ」 「あのっ!!あたし!!」 「・・・・」 「やっぱり会長の右手になります!!!」 「・・・・」 手をぎゅっと結んで体の横に添えて、緊張を滲ませた表情で俺を見るキミ。 そこで初めて色を出した俺。 「・・・・は?」 「頑張ります!!!」 それは驚きと昨日から続く目眩の色。 自分から檻に囚われにきたキミ。 ねぇ、キミは 何を考えてるの?  
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