鈍色

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今思い返せば 「・・・寝込み襲おうとするぐらい俺のこと好きなんだ?」 出会いはかなり最悪で 「瀬田から壱花ちゃんを助けてあげる」 かと思えば案外良い人そうで・・・ 「・・・クス。その顔じゃ無理そうだね」 けどやっぱり良い人からはほど遠い人で、 いっつもいっつも 人のことからかってばっかりで、あたしがどんなに真面目に言い返したって本気で相手をしてくれることなんかない。 会長はきっとあたしのことがキライなんだ。 だから時々憎悪で揺れた瞳であたしを恐怖でいっぱいにするし、 だから爪を立てたり牙をむいたりしてくるんだよ。 だからあたしだって会長には負の感情しか持ち合わせてない。 だけど だけどね、 会長はいつもあたしをからかった後に皮肉っぽく笑うでしょ? バカにしたように笑うでしょ? どこか冷めた調子で笑うでしょ? だけどその後にふと見せる表情・・・ それのせいであたしはなぜか会長のことが―――・・・  
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