鈍色

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それまでの作業を一旦中止し、自分の目の前に置いてあるダンボールに手を延ばして中身を確認しようとしている様子の壱花ちゃん・・・ 「・・・・壱花ちゃん」 「え・・・・えっ!?」 壱花ちゃんの後ろに立って、それから座ったままの壱花ちゃんの上から左手をダンボールに伸ばして、壱花ちゃんの右側の耳元に顔を近づけた。 「・・・ひっ!ちょっちょちょちょ―――ー」 俺との距離にテンパる壱花ちゃん。 そんな彼女に、彼女だけにしか聴こえない大きさで、優しい声で囁いた。 「・・・・壱花ちゃん、コレね、右側のプリントが一番上になるように組んでいくんだよ」 「・・・へ?」 「・・・・じゃ、よろしくね」 パッと体を離すと先に生徒会室のドアを開けて外に出ていた茂木に続くようにして俺も外に出てドアを閉めた。 ガラッ! ドアが閉まって、内と外の境界線が戻った瞬間・・・ 『ちょっと~~~!!!!!アンタ私たちの会長に何てことしてんのよ!!?』 『えっ;;今のはああたしじゃなくって』 『お黙り小娘!!昨日わたくしが言ったことがわからなかったの!!?ええ!?』 『ていうか何であなただけ名前で呼ばれてるの~~!!?さゆだってまだ一度もサユって呼んでもらったことないのに~!!』 『それを言うならわたくしだってまだランって呼んでもらったことがございませんのよ!?』 『ていうか山崎先輩のそのお嬢口調もむかつく~~~!!』 『何ですって~~~!!それよりあなた!会長に何を言ったの!?わたくしたちの前で会長とこしょこしょ話なんてよくもまぁできたものね!!』 『だっだからあたしじゃなくって会長が・・・』 『お黙り~~~!!さっさと白状しないと痛い目みせますわよ~~~!!』 『ひ~~~;;』 (何であたしばっかり~~~;;) 「・・・・」 ドアの向こうで俺が口元を緩めてるなんて誰も想像できなんだろうね? 「・・・・クス」 あ~あ、 バカばっか。
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