4752人が本棚に入れています
本棚に追加
ガラッ
出で行く時とは比べ物にならないほど静かな生徒会室。
時折窓から入る風にカーテンがなびく音が響くだけ。
それともうひとつ・・・規則正しいリズムで音を奏でる―――・・・
「・・・・寝てる」
小さな背中。
「スー・・・スー・・・」
香月と適当に時間を潰して、
香月は面倒くさいからとそのまま帰ってしまった。
俺は少し寄り道をしてから再び生徒会室に戻ってきた。
「・・・・壱花ちゃん」
「スー・・・スー・・・」
「壱花ちゃん」
「・・・・スー・・・」
「・・・・はぁ」
呼びかけても机に突っ伏した状態で何の反応も示さない彼女。
俺は机に腰掛け、彼女の耳にかかった髪を優しく描き上げて、それから自分の顔をゆっくりそこに近づけた。
「・・・起きて、壱花ちゃん」
それからふ~と息を送り込めば
「ひゃわわわわわわっ!!!」
ガバッ!!!!
「!?!?」
変な奇声と一緒に飛び起きて、目をバチバチさせながら間抜けな顔を俺に見せる。
「・・・おはよ、壱花ちゃん」
ニコっと微笑んでみた。
だけど・・・
「・・・お、はよ?ございまー・・・って!今の会長!?きゃあああ!!耳が気持ち悪い~!!!」
「・・・・」
せっかく“表”の顔で笑ってやったのに、どうやらお気に召さなかったらしい。
香月と似たような反応でムカつくな・・・。
「ひっ人が寝てる隙を突くなんてっ!ひっ卑怯です!!」
なんて、真っ赤な顔してさっきの俺がした行為を咎められてもね~・・・
「それより壱花ちゃん」
「なっなななな何ですか!?」
「まだこのアンケートの集計、途中みたいだけど」
「え・・・」
「どこに寝てる余裕が?」
「あっ・・・うう~;;」
自分の立場が危うくなったことに首を肩に埋めるように縮こまる壱花ちゃん。
「・・・・・クス」
こうゆう仕草が俺の悪戯心をくすぶるんだよね。
最初のコメントを投稿しよう!