鈍色

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「あ~~!マジでムカつく!」 昼休み。 締め切った室内。 ブォーと響くクーラーの モーター音。 聞きたくもない声を ペラペラと紙をめくる音で少しだけでも紛らわしてみる。 「はぁ」 思わず溜め息が出た。 するとそれに反応してか、イスの背もたれにで~んと背中を預け腕を頭の後ろで組んだまま視線を俺に向けてきた。 「・・・あのさ、何でそれをここで言うわけ?」 「ああ?」 「はぁ」 もう一度溜息をつきながら掛けていたメガネを外し、前髪をかき上げてから相手にも十分伝わるぐらいの煙たげな顔で視線を向こうへと送り返した。 「何で生徒会室でお前が堂々とくつろいでんのかって話だよ」 「・・・・」 まぁ向こうは向こうで嫌っそ~な顔で俺のこと睨み返してきたけど・・・。 瀬田 龍太郎。 派手な外見に派手な言動で校内ではけっこう有名だ。 俺がこの学校で・・・ 二番目に気に食わないやつ。
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