鈍色

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一番は誰かって?それなら・・ああ、そうだ、昨日人がせっかく買ってきた差し入れを『誰から』とか抜かしてくれたあのおバカなおかっぱ頭にでもしておこうか? 「あのな~!言っとくけど!この場所はオレが1年の時から使ってんの!!つまり後から生徒会長になったお前が悪い!!嫌ならお前が出てけ!!」 「・・・・・」 なんて、人が昨日のことを思い出してイライラしてる間にもう一人のバカは 偉そうに、だけど言ってる内容はまるっきりアホなことを 俺に向かって堂々と言ってのけた・・・。 「・・・・」 (ふふん!どーだ!オレの迫力に押されてとうとう黙りやがったぜ!!) 「・・・・」 (バカの相手は疲れる・・・) 「この時期の昼休みはオレがこの冷房つきの生徒会室を占拠するって決まってんだよ!!」 「はぁ~」 (ただ涼みに来ただけだろ・・バレバレだっつの。本当バカ) 「・・・・?」 (ん?さっきより呆れたような表情のような・・・) 瀬田は一瞬『???』な顔をしていたけど、なにかに納得したように首をひとり頷かせてから、足を机の上に放り出したままイスに腰を深く沈めた。 そしてまた室内はブォーと響くクーラーの モーター音だけになった。 そしてそれに自分の声を足したのは俺の方からだった。 「彼女とま~たケンカしたわけ?」 まだまだここから出て行きそうにない瀬田に、少しイラつきながら俺は再び手元にある資料に目をやったまま問いかけた。 「・・・・は~?彼女?なんじゃそりゃ」 (うぜ~・・・) 瀬田から返ってきたのは適当な答え。 「だから、壱花ちゃんと上手くいったんじゃなかったわけ?」 「!!」 何となく、俺が出した名前に瀬田が反応したような空気を感じた。 「はっ!上手くいくって!?何が!?」 「・・・・付き合ってんじゃないの?」 「はぁ~!?んなわけねえだろ!!あんなの彼女でも何でもねえ!!ただのパシリだパシリ!!!」 急にムキになったように声を荒げ、怒った口調に変わった瀬田。 ふーん・・・・ なるほど。 (・・・・・クス)
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