鈍色

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「かっ会長はっ・・・もう完璧元気になったんですね!?」 (何よ何よ~~!!それじゃあたしが会長の右手になる必要なんてはじめっからなかったんじゃない~~!) 「ははは。うん、そうかもね」 「~~~っ!!」 「家に帰るからタクシー呼んでもらえるかな?」 「~~~っ!!電話してきます!」 今回も完全に俺に騙され続けた壱花ちゃん。 それはそれは実に悔しそうな顔で部屋を出ていった。 一人になった部屋。 「・・・・クスクスクス」 彼女がいなくなってようやく堪えていたものを声にのせて外に出せた。 それからまだ下半身にかかっていた布団をめくり、立ち上がって、寝かせてもらっていた布団をせめて折りたたむぐらいはしておこうとその作業にとりかかった。 ターンッ 「あれ?壱花は?」 しばらくして障子が開いたと思ったら壱花ちゃん兄だった。 「ああ、帰るためにタクシーを呼びに行ってもらいました」 「そっか。あ、布団!そのままにしといてくれて大丈夫ですよ!?」 「いえいえ、これぐらいやらせて下さい。ご迷惑おかけしましたし」 ホント、よく似たキョウダイだな。 話し方のリズムまでよく似てる。 「もう・・・体の方は大丈夫なんですか?」 「ええ、寝たらだいぶましになりました」 本当は立つとやっぱりまだ体がダルく感じるけど、家に帰って寝れば問題ない。 「そっか・・・ ならいいいかなぁ?」    
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