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「転校生?」
その話をコバちゃんから聞かされたのは期末テスト終了日。
ようやくテスト週間から解放されコバちゃんと今までに溜まりに溜まった鬱憤を晴らしにカラオケに来ている時だった。
「こんな時期に?もう夏休みだよ?」
「そこは~ほら、聞かれたら困る人がいるから聞いちゃダメ」
「は?」
「まぁまぁ!とりあえず明日来るらしいよ~」
マイクに自分の声を通して答えながら曲を入れるコバちゃん。
「ふ~ん。そっか。で、それって―――」
女の子?男の子?
という定番の質問をコバちゃんに投げかけようとしたとき、
あたしのスカートのポケットが震えた。
ブーッブーッブーッ
「ん?あ、電話かな?」
「ちょっと!あたしが今から歌おうってのに!そんなの後でかけ直せばいいじゃんか~!!」
「うっう―――ん!?
ごっごめん!ちょっちょっとだけだから!!」
怒るコバちゃんに、ケータイを両手で挟みながらごめんなさいのポーズを見せて急いで部屋を出て通話ボタンを押して耳に押し当てた。
だって・・・
「もっもしもし!りゅうちゃん?」
これは何を後にしても優先しないわけにはいかない。でないと後でどれだけ文句を浴びせられることかわかったもんじゃない。
『・・・おいコラ』
「はっはい!」
『今すぐ△公園のバスケコートに来い』
「・・・・は?」
『いいな?すぐだぞ!すぐ!!―――ブチッ』
「・・・・は?」
あたしは耳からケータイを離して画面と睨めっこ。
りゅうちゃんはあたしの返事も聞かずに通話を切った。
おまけに今あたしがどこにいて何してるかも聞かずでまるっきりこっちの都合無視。
おまけのおまけに声が尖がってた上に早口。
つまり、とーっても機嫌が悪い。
いっ・・・
(いっいきたくない!!)
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