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   こんな時間じゃ、居留守を使うことも出来やしない。  どうせ同窓会でも顔を合わせるのに……。  そう思いながらも仕方なく玄関へ向かい、ドアを開ける。  「やっぱり居た。居るんなら電話にぐらい出ろよな」  ドアを開けるなり、小言を口にしたのは予想通り貴明だった。  「通話代を節約してあげたんだよ。どうせ貴明のことだから、近くに居たんでしょ?」  室内に招入れながら問い掛ければ、あっさりと肯定の返事。  「それで、こんなに朝早くに何の用。同窓会で顔を合わせるのに」  大して広くもないキッチンで湯を沸かしながら、つい思ったことを口にしてしまう。  「その同窓会に一臣も来るってよ。行き辛いようだったら一緒に行こうかと思って」  一臣の名前を聞いた瞬間、心拍数が上がったのが自分でも分かる。  「知ってるよ。だけど、あれから十年も経つんだから、僕は平気だよ」  そう、あんな夢さえ見なかったら。  「だけどまだ忘れられていないだろう?」  図星を突かれ、反論する言葉を失う。  貴明だけは、僕が一臣を好きだった事を知っているから……。  「やっぱりな。名前を聞いただけでそんなに切なそうな顔をするくせに、無理に強がらないでくれよ。せめて俺の前でだけはさ」  「貴明にはお見通しか……」  もう溜息しか出ない。  十三年も付き合っている以上、隠し通そうとしても無駄だということを思い知る。  
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