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事実、僕はまだ一臣への想いを抱えたまま、次の恋さえ見つけられずにいる。
いっそ、他の誰かを好きになれたら、彼の事など忘れられるのに。
頭では理解していても街を歩けば、彼に似た背格好をした人を無意識に視線が追いかけてしまう。
「……あの日に告白すれば良かったのかな……?」
キッパリと振られてしまった方が、こんな想いをしなくてすんだかもしれない。
そう思うと自然に口から言葉がこぼれる。
「今更、過去を悔やんでも仕方ないだろうが。どうせなら、今日の同窓会で言ったらどうだ?冗談めかして」
ソファーで寛ぐ貴明の前にコーヒーを淹れたカップを置けば、とんでもない提案をされる。
「それこそ言えないよ」
過去形にもなっていないこの気持ちを、冗談で打ち明けられるほどの勇気はない。
ましてや、その想いを打ち明けたことによって、一臣との友情にヒビが入ったら?
僕は彼の親友というポジションをも失ってしまう。
だったらこのまま、この気持ちを押し殺してしまう方を僕は選ぶ。
「じゃあお前は、これから先もアイツだけを想って生きていくつもりか?気持ちの整理もせず、全てを切り離したままで」
「そんなことが不可能なのも、いずれは彼を忘れなきゃいけないのも分かってる」
分かっていても自分だけでは、どうしていいか答が見つからないのだ。
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