始まり

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トーストとスクランブルエッグという、簡単な食事を済ませて食後のコーヒーを楽しんでると――って言っても、缶コーヒーだけど――肩を叩かれた。 振り返ってみれば、昨日ロビーで出会った本田君ではないか。 凄い笑顔で、明るい場所で改めて見ると、凄く精悍な整った顔立ちだ。 食堂にいる他の女子寮生の注目を集めている。 「おはよう。 あの後は眠れたの?」 「だっ、大丈夫。 北村君は?」 「まだ寝てる。 二人は今日は何する予定?」 本田君は私と砂由を交互に見ながら向かい話題を振った。 人見知りはしないらしい、人懐っこい砂由は、すぐに本田君と打ち解けたみたいで、楽しそうに話してるのを、私はぼーっと見ていた。 本田君もかっこいいが、砂由も整った顔立ちの美人で、二人並んでると美男美女って言葉がぴったりだ。 今一つ容姿に自信が持てない私としては、この二人の間にいる事に引け目を感じてしまう。 まぁ、容姿なんて言わずもがな、持って生まれたものだし僻んだって仕方ないんだけどさ。
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