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「晶、武君が買い物付き合ってくれるって!」
「へ?」
砂由に突然話を振られて、まったく二人の会話を聞いていなかった私は、びっくりした。
いわゆる、鳩が豆鉄砲をくったみたいな顔をしていたと思う。
本田君がくすくす笑っている。
「だから、武君が荷物持ちしてくれるんだって。
ラッキーよね!
お米重いもの」
ようやく状況が飲み込め、私は大きく手を振った。
「悪いよぉ。
本田君だって、やる事あるでしょ」
「いいって。
荷物も少ないし、大してやる事も無いんだ。
ちゃんと樹叩き起こして二人で付き合うからさ。
それに、俺の事は武でいいから。
名字で君付けされると、痒くなる。
じゃぁ、30分後に玄関で」
こちらに口を挟む暇も与えず、ペラペラと喋り、話を畳んで本田君が去っていく。
や、武…君かぁ…
でも、北村君が一緒なのは、悪くない。
悪くないどころか、嬉しい。
部屋に戻って、約束の時間までに準備しなきゃ。
「砂由、私先に部屋に戻るね!」
心が焦り、砂由の返事を待たずに食堂を飛び出した。
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