始まり

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高校を卒業して、私、牧野晶が選んだ進路は、看護学校への進学だった。 ナースになるのは、私の子供の頃からの夢だった。 幼稚園の時のアルバムに挟んである、しょうらいのゆめと書かれたカードにも、がんごふさんって書いてあったんだ。 覚えていないんだけど。 今は、看護婦じゃなくて看護師っていうんだけどね。 そんな訳で、ずっとずっと夢見てきたナースへの第一歩。 看護学校への入学式を前にして、私、凄く晴れ晴れとした気持ちだった。 地方出身の私が東京にある看護学校への進学を選んだのは、どうせ就職の時には最先端医療をやっている病院に就職する為に上京するつもりだったからだ。 看護学校なら地元にもいくつもあるのにと渋い顔をした両親だったけど、結局は寮のある学校に入学する事を条件に許してくれた。 そんな地方出身者は結構いるもんで、学生寮の入寮日は大騒ぎだった。 寮は3階建で、1階が食堂とロビーと、男子学生の為の部屋と浴室。 2階と3階に女子学生の為の部屋と浴室がる。 女子学生の居住区の方が広いのは、いくら男性ナースが増えてきたと言っても、圧倒的に女性の方が多く、比例して学生も女子学生の割合がかなり多いからだ。
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