44人が本棚に入れています
本棚に追加
暗い路地裏を車が走る。
時刻は真夜中を回り、外気は肌を刺すように冷たかった。
黒いアスファルトは、街灯を反射して艶かしく煌めき、
街路樹はそれにしては珍しく葉を散らして、痩せ細った様子で佇んでいる。
辺りは静かで、聞こえるといえば、この車の駆動音くらいのものだ。
突然、ガタンと車体が揺れる。
車内の男は何かに気付いて、車を止めた。
そして、確認するのを躊躇うかのように、ゆっくりと車を降りる。
最初のコメントを投稿しよう!