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暗い路地裏を車が走る。 時刻は真夜中を回り、外気は肌を刺すように冷たかった。 黒いアスファルトは、街灯を反射して艶かしく煌めき、 街路樹はそれにしては珍しく葉を散らして、痩せ細った様子で佇んでいる。 辺りは静かで、聞こえるといえば、この車の駆動音くらいのものだ。 突然、ガタンと車体が揺れる。 車内の男は何かに気付いて、車を止めた。 そして、確認するのを躊躇うかのように、ゆっくりと車を降りる。
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