2 狭間に上がる産声

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私の愛だと思っていたものが、永遠だと思っていたものが。 あの時。どうしようもない別離によって忽然と、そう、ただ忽然と消えた。 そして私は結論した。 贋作だったのだと。愛など、何か素晴しいものの偽物で、或る時刹那的に消え去ってしまうものなのだと。 だが彼らを見たら、今の私のままではいられない気がした。流血で繋がる、不安定な私と地面が切り離される。 結果がどうなるかなど、解らないし考えたくもない。 存外、平穏に収まるのかもな、と冷え切った頭の片隅で考えた。
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