2 狭間に上がる産声

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「それ程の人間が何故この片田舎に?」 「彼の妻が、この町の人ですからね。 ここ二、三年空けていたのですが、ついこの間、彼を連れて帰郷。 状況証拠から判断すると、駈け落ちではないでしょうかね」 下世話だな。情報を貰うこちらとしては、望ましいが。 「ミネっ。この咒式具なんてどうです?」 スティアが私を呼ぶ。 店員との話を切り上げ、配列棚を回り込みスティアの元へいくと、嬉しそうに咒式具を掲げてくる。 「どうです?これ。可愛くないですか!?」 スティアが掲げていたのは花柄の彫りがあしらわれた鍔。
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