2 狭間に上がる産声

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「足元見るね。仕方ないこちらが折れよう。 どうせ当分手に入らないのだし」 考えて見ればそう悪い話でもない。 商売人はリスクを背負いたがらないが、私たちにしてみれば機を狙う必要などなく、いつ使おうと構わないのだから。 代金を支払い店を出る。 結局、各種咒弾以外購入しなかったな。 最先端の咒式理論、技術を組み込んだ咒式具や、今でも一流の実用性を兼ね備えたアンティークは、流石にこの辺りの店では手に入らないということだろう。 咒式店に長居して多少疲れたので、ホテルへ帰った私たちは、今日は解散。ホテルで休むなりホテル周辺をぶらつくなり御自由に、という結論に落ち着いた。 田舎町の空は先程の快晴を巻き返そうとするかのように、薄暗い雲に覆われ始めていた。 小雨でも降るかな?
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