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渚は堤防から近くのスーパーマーケット"ニコニコマーケット"に向かった。
辺りには血飛沫が散らばって 真に地獄絵図と化していた
渚が吐き気を堪えながら 角を曲がろうとすると 何者かの声がする。
『生存者か?』
いや、様子がやけに落ち着いている。
普通ならパニックになる状況なはず。
もしくは グロ好きのイカれ野郎か?
渚は角に身を潜め声を聞いた。
「Dr.スザク博士。まだ、実験体PW-101"fool"からの連絡によると ターゲットは地下室の核シェルターに逃げ込んだようで、突破するにはもっと強力な実験体が必要ということです」
「そうか。なら、直ぐにPW-102を投入しろ」
「はっ!かしこまりました」
「待て。確か奴には娘がいる。確か並樹とか言ったな。奴は始末しろ。両親は生け捕りにしろ」
「では!要請します!」
『並樹を始末!?』
まさか!
早く助けて脱出しなければ!
しかし、渚は大切な者の為には単純になる
何故か『奴等を止めなければ』という愚かな考えが沸いた。
「辞めろ!そこまでだ!」
その瞬間、自分の行動を後悔した。
『皆 マシンガン持ってるよ でも裏山』
「ほお?生存者が居るとはな。」
立派な髭を持った獅子の風格と言える中年の男が言った。
「誰だ?お前は?」
渚はそれに動じず聞いた。
「私はスザク。政府エナジー研究所東京本部の幹部を勤めている者だ 皆の者銃を構えろ! ターゲット以外の生存者は殺せという命令だ」"カチャ"
「最後に名前を聞いておこう」
スザクは微笑しながら言った。
目が危ない。
やはりグロ好きか。
「柏崎 渚....柏崎 渚だ」
「何!まさか柏崎 誠四郎所長の息子さんか?」
柏崎 誠四郎....
親父の名だ。
「ああ」
すると スザクは大声で笑いだした。
「あのときのボウヤか!まだ君が小さい時だったな!私が君の親父さんに君の誕生会に誘われてな!すまん!すまん!失礼した ワハハハ」
冗談じゃない
「で?確か君は脱出用にヘリが遺跡に迎えに来てるぞ?ご両親が心配しているぞ?」
「並樹を殺さないでください 並樹は俺の大切な女なんです!」
しばらく沈黙が続いた。
何処からかエンジン音が聴こえてくる。
「彼女は諦めたまえ。これは政府の命令だ。いくら私でも抗うことはできない。さあ!遺跡まで送ってあげるから車に乗りたまえ」
スザク博士は冷淡に言った。
「......」
渚は無言のまま車に乗り込んだ。
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