2 慈悲亡き牙

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渚は堤防から近くのスーパーマーケット"ニコニコマーケット"に向かった。 辺りには血飛沫が散らばって 真に地獄絵図と化していた 渚が吐き気を堪えながら 角を曲がろうとすると 何者かの声がする。 『生存者か?』 いや、様子がやけに落ち着いている。 普通ならパニックになる状況なはず。 もしくは グロ好きのイカれ野郎か? 渚は角に身を潜め声を聞いた。 「Dr.スザク博士。まだ、実験体PW-101"fool"からの連絡によると ターゲットは地下室の核シェルターに逃げ込んだようで、突破するにはもっと強力な実験体が必要ということです」 「そうか。なら、直ぐにPW-102を投入しろ」 「はっ!かしこまりました」 「待て。確か奴には娘がいる。確か並樹とか言ったな。奴は始末しろ。両親は生け捕りにしろ」 「では!要請します!」 『並樹を始末!?』 まさか! 早く助けて脱出しなければ! しかし、渚は大切な者の為には単純になる 何故か『奴等を止めなければ』という愚かな考えが沸いた。 「辞めろ!そこまでだ!」 その瞬間、自分の行動を後悔した。 『皆 マシンガン持ってるよ でも裏山』 「ほお?生存者が居るとはな。」 立派な髭を持った獅子の風格と言える中年の男が言った。 「誰だ?お前は?」 渚はそれに動じず聞いた。 「私はスザク。政府エナジー研究所東京本部の幹部を勤めている者だ 皆の者銃を構えろ! ターゲット以外の生存者は殺せという命令だ」"カチャ" 「最後に名前を聞いておこう」 スザクは微笑しながら言った。 目が危ない。 やはりグロ好きか。 「柏崎 渚....柏崎 渚だ」 「何!まさか柏崎 誠四郎所長の息子さんか?」 柏崎 誠四郎.... 親父の名だ。 「ああ」 すると スザクは大声で笑いだした。 「あのときのボウヤか!まだ君が小さい時だったな!私が君の親父さんに君の誕生会に誘われてな!すまん!すまん!失礼した ワハハハ」 冗談じゃない 「で?確か君は脱出用にヘリが遺跡に迎えに来てるぞ?ご両親が心配しているぞ?」 「並樹を殺さないでください 並樹は俺の大切な女なんです!」 しばらく沈黙が続いた。 何処からかエンジン音が聴こえてくる。 「彼女は諦めたまえ。これは政府の命令だ。いくら私でも抗うことはできない。さあ!遺跡まで送ってあげるから車に乗りたまえ」 スザク博士は冷淡に言った。 「......」 渚は無言のまま車に乗り込んだ。
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