プロローグ 空野風彰

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 目を上げるとそこには黄色いボール。  立ち入り禁止の私有地にまで跳んでしまったボール。  今頃、ジャンケンで負けた妹が大周りをして取りに行っている筈だ。  自分は妹がボールを拾い、こちらに向って投げるのを待っている。  だが妹は来ない。  自分は心配をする。  平日の昼間、小学校は春休みだった。  春の柔らかな日差しを覚えている。  妹は来ない。
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