プロローグ 空野風彰

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 妹は車に撥ねられていた。  ピンク色の服は血の海にたゆたい、右の太股は明らかに正常ではない方向に曲がり、胸は僅かに上下しているものの、顔面は面影もなくなる程の量の血を流し続けていた。  何故か靴は片方遠くへと飛んでいて、左肩は骨が外れていて、ハイソックスには正に血が染み込んで行く。  傍らの白い車には赤々とした血がべったりとこびりつき、運転手が顔を蒼白にして固まっていた。  自分の絶叫が遠くから聞こえた。
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