遠い昔

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女の子は本を右手で持ちながら風になびく髪をまた耳にかける。 そして遠くを見つめながら僕に話しかけてきた。 「とても景色がよくて、素敵な場所ですね。よくここにいらっしゃるんですか?」 僕も女の子のように遠くを見ながら言った。 「仕事が休みの土日で天気がよければよくここに居ます。ここに居ると心が落ち着いてとても癒されるんです」 「私も、この場所が好きになっちゃいました」 そう言って女の子は僕に笑顔を見せる。心臓が破裂するんじゃないかと思うくらいに僕はドキっとした。それほどに女の子は素敵だった。 楽しい時間はすぐに過ぎてしまうものだ。きずけば街の景色は夕日に照らされ赤く染まりはじめていた。 女の子は何かを思い出したように僕に話しかけてきた。 「そろそろ帰らなくちゃ。本ありがとう。来週もここに居る?」 「あっ、天気がよければ」 「そっか。じゃあ天気がよかったら私もこようかな。本も返さなくちゃいけないし」 「そんなに慌てなくても大丈夫だよ」 「ありがとう」 そう言って笑顔になる女の子。 女の子は夕日に染まる景色を見ながら僕に言った。 「でもきっと来週までには読み終わると思うの、だから来週の今日には本を返せると思うんだ」
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