25人が本棚に入れています
本棚に追加
女の子は本を右手で持ちながら風になびく髪をまた耳にかける。
そして遠くを見つめながら僕に話しかけてきた。
「とても景色がよくて、素敵な場所ですね。よくここにいらっしゃるんですか?」
僕も女の子のように遠くを見ながら言った。
「仕事が休みの土日で天気がよければよくここに居ます。ここに居ると心が落ち着いてとても癒されるんです」
「私も、この場所が好きになっちゃいました」
そう言って女の子は僕に笑顔を見せる。心臓が破裂するんじゃないかと思うくらいに僕はドキっとした。それほどに女の子は素敵だった。
楽しい時間はすぐに過ぎてしまうものだ。きずけば街の景色は夕日に照らされ赤く染まりはじめていた。
女の子は何かを思い出したように僕に話しかけてきた。
「そろそろ帰らなくちゃ。本ありがとう。来週もここに居る?」
「あっ、天気がよければ」
「そっか。じゃあ天気がよかったら私もこようかな。本も返さなくちゃいけないし」
「そんなに慌てなくても大丈夫だよ」
「ありがとう」
そう言って笑顔になる女の子。
女の子は夕日に染まる景色を見ながら僕に言った。
「でもきっと来週までには読み終わると思うの、だから来週の今日には本を返せると思うんだ」
最初のコメントを投稿しよう!