遠い昔

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遠くを見つめながら僕は彼女に言った。 「ならまた来週ここで待っているよ」 「ありがとう」 そう言って女の子は僕の顔を見た。とても素敵な笑顔、なんど見ても素敵だ。 そうしているうちに街の景色は夕日で赤く綺麗に染まりはじめた。 それを見た女の子は何かを思いだしたように言った。 「そろそろ帰らなくちゃ。じゃあまた来週にここで」 そう言って女の子は道路に続く階段の所まで歩いていった。 そこで女の子は立ち止まり振り返って少し大きな声で僕に言った。 「私、上江 茜」 僕も少し大きな声で言った。 「僕は橋田 太一」 「太一君か、また来週にね太一君。バイバイ」 女の子はそう言って手をふりながら階段を降りていった。 僕は夕日に染まる景色を見ながらしばらくその場から動けずにいた。 僕は彼女の笑顔を思い出して。素敵な笑顔を思いだすだけで心はドキドキした。 そして嬉しい事もあった。 来週も女の子に会える事。そしていつのまにか敬語を使わずに話してくれた事。その2つがとても嬉しかった。 僕はこの日恋をした。 とても素敵な感覚。余韻にひたりながら僕は帰路についた。
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