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隣のベンチに目をやると高校生くらいの男の子が座っていた。
遠くを見つめる彼の表情。私も同じような表情でこの場所から遠くを見つめていた時期があった。
思わず私は彼に話しかけていた。
「何か悩み事ですかな?」
彼は私が隣のベンチに座っている事に今はじめて気がついたのか、ビックリした表情になって私を見た。
私はもう一度彼に言った。
「何か悩み事ですかな?」
すると彼は俯き小さな声で返事をした。
「ええ、まあ」
「好きな人の事での悩み事かな?」
図星だったのか、彼は驚いて私に言ってきた。
「何故わかるんです?」
「長く生きていますからね。そのくらいはわかりますよ」
私は笑顔で彼に言った。
彼は少しするとまた遠くを見て独特の表情になった。
私はまた彼に言った。
「私でよければ話してくれませんか?少しは楽になると思いますよ」
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