~プロローグ~

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▽  やあ、ボクは高橋つばさ(タカハシ ツバサ)。  成長期真っ只中の、中学3年生だよ。  注意しとくけど、ボクは女の子だからな。  確かに背は175cmくらいあるし、髪はショートだし、顔立ちは男っぽいし、胸も……あるよ!? 胸くらいあるよ!!!?  ……コホン、取り乱したね。  まあとにかく、ボクは今年高校受験なんだよ。  受験はボクにとっては勝負なんだ。  えっ? みんなそうだって?  違う違う、他の受験生ともそうだけど、ボクの本命は…… 「バッキャロウ! 起こせっつっろうがハゲ!」  ボクの家の隣の家から出てきたコイツ……政人との勝負さ。  どっちが高い点数を取って第一高校に行けるか、っていうね。  勝てば5万円だよ、5万円(今年のお年玉の総額)。 「おはよう。朝からどうしたんだい?」 「あ゛あ゛? ……ちょっと朝珈琲で、食事の余韻を楽しみ過ぎちまったぜ」  ……格好つけたつもりだろうか?  せめて、目の下の隈と寝癖くらい直してこい。  ま、大方おじさんに朝起こすの頼んで、すっぽかされたってとこか。 「さあ闘るぞ! わざわざほうじ茶で、身体暖めてきたんだからな」  朝珈琲はどうした。  ……言うだけ無駄か。
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