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広島県広島市…。深夜の原爆ドーム前に数台の車が止まっている。
「俺のIS-Fが13位にランクインだな…。広島魂を見せちゃるけん!」
男が一人喜びの雄叫びをあげる。
男の名は中村勝馬。かつて増本が所属していた「プライムラビッツ」の5代目リーダーである。
普段は広島の有名な美容室で腕利きのいい美容師をしていて、かなり評判が高い。
その反面、増本を崇拝し増本を超える存在になるべく、
シルビアでホームの峠を攻め込み、プロのレーサーとガチンコ勝負で勝つまでになった男だ。
「まぁ、レースに出るのはいいが、増本さんの存在を忘れるな。」
そこに男がアテンザから降りて、中村に言う。
「く、組長!どうして…。」
中村は驚く。
男はプライムラビッツ4代目組長の淡島忠宏だった。
「お前なんて、まだ青二才じゃけんの…。増本さんを間近に見てないから分からないと思うが、お前より数百倍も上だ。サーキットで鍛えてこい。」
淡島は中村をアテンザの運転席に乗せる。
「分かるか…。こいつはもう25万キロ走ってる。増本さんが広島を去ってから、このチームの組長たちがアテンザを引き継いでる。お前もこのアテンザを引き継ぐ時がくるわけだから、チームの名を汚すなよ。」
淡島は中村に言い聞かせる。
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