*死する国//雑記*

1/2
前へ
/26ページ
次へ

*死する国//雑記*

 吹き荒れる砂嵐を見て悲観にくれるしかなかった。腕の中に抱いた赤子だけでも、せめて助ける方法はないだろうか。 「……きっとこの国ももう」  自然の力には逆らえまいと女性は諦めて身を縮める。少しでも抱いた赤子が助かるように、と願いを込めながら。 「……世界はもう……砂が落ちてしまったのですね……」  ゆっくりと女性の意識が薄れていく。薄れる中で、赤子の泣き声が響いた。女性は願う。だが、もう体力は限界だった。 「おい、赤子がどこかにいるみたいだ」 「探せ探せ!」  その赤子が、死する国を作り出したとしても――
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加