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*死する国//雑記*
吹き荒れる砂嵐を見て悲観にくれるしかなかった。腕の中に抱いた赤子だけでも、せめて助ける方法はないだろうか。
「……きっとこの国ももう」
自然の力には逆らえまいと女性は諦めて身を縮める。少しでも抱いた赤子が助かるように、と願いを込めながら。
「……世界はもう……砂が落ちてしまったのですね……」
ゆっくりと女性の意識が薄れていく。薄れる中で、赤子の泣き声が響いた。女性は願う。だが、もう体力は限界だった。
「おい、赤子がどこかにいるみたいだ」
「探せ探せ!」
その赤子が、死する国を作り出したとしても――
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