いくつもの終わり

2/2
81人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
統一感のある黒い鎧で身を固めた二十人を越えようかという屈強な男達が半分廃墟と化した教会へと入っていく。 彼らは近隣諸国から恐れられる軍事国家の精鋭が揃えられた部隊であるのだが一分と経たぬうちに最初の悲鳴が上がった。 最初の悲鳴から数分と経たぬうちに神々に祈るべき教会も今では返り血を浴びて赤黒くなった広鍔帽を深く被り、マントを羽織った一人の男を中心に何人もの鎧を着込んだ騎士達の屍で溢れていた。 今、最後の一人が倒れていった仲間の為なのか与えられた任務を全うする為なのか誰にもわからないが呪詛の言葉が混じった雄叫びを上げながら剣を振り上げ、広鍔帽の男に切りかかる。 そして、礼拝堂に流れる耳が痛くなるような沈黙と数秒遅れて脇腹からまだ葡萄酒になる前の液体のような瑞々しさを持った鮮血が吹き出した。 最後の騎士は聞き取れないような小声で最後の言葉を吐いて他の騎士と同じように屍の仲間入りを果たした。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!