陽炎

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私は、自分のアパートの前に着いてミズキを振り替える。 「ちょっと待ってて。」 「はやくね!」 はいはい。と私は答えて、部屋の中に入る。 んと、見られてまずいものはないかな… ぱっと片付けてミズキのところへ戻る。 「お姉ちゃん、部屋汚いんでしょ。」 私は、「お互い様でしょ!早く入りな!」 と声をかける。 「お邪魔しまーす。」 私の部屋はほぼアトリエと化している。 「絵を描くの?」 「…うん、なかなかうまく行かないけどね。」 「そんなこと無いよ!目標があるのは素敵だよ!」 ミズキは目をキラキラさせている。 こんなにも無邪気な彼女を見ていると少し懐かしく思えたり恥ずかしくも思える。 例えるなら…ホームビデオを見ているような心持ちだ。 「お姉ちゃん?」 はっと我に返る。 「何?ごめん、ボーッとしてた。」 「せっかくだからさ、この街を色々案内してよ!」 このくそ暑い中をか… 「あー夜になってからね。」 ミズキがまったく歳なんだからと言っているのをしり目に私は、冷蔵庫の中身を確認する。 マズイ…からっぽだ。 ポンと肩を叩かれた。 「夕飯の買い物行こう!」ミズキは満面の笑みを浮かべていた。 私は、ため息をついた。 「ちょっと日が落ちてきてからでいい?」 「しょうがないな。」 とミズキは笑っていた。 私は、小さなソファに寝そべった。 この前借りてきた、昔好きだったアニメのDVDをまだ見ていないことに気が付いた。 「ミズキ、ビデオ見ようよ。」 「なんの?私の知ってるやつ?」 ミズキは興味津々だった。「うん、うちらの好きなヤツだよ。パフェリー!続き気になるでしょ?せっかく10年先に来たんだから!見なきゃ損だよ」 ミズキは、笑顔で 「見たい!」 そうこなくっちゃ! 私たちは、戸棚に買っておいたお菓子を食べながら大好きなアニメを見た。 私もミズキも笑うタイミング、涙ぐむタイミング全てが同じだった。 やっぱりこの子は、私なんだ。奇っ怪ではあったけど私は、認めざるを得なかった。
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