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「分かったわ、お休み…ディア」
長い灰色の髪、そこに濃紺のメッシュを一筋だけ入れた女性はヒラヒラと左手を振って青年を送り出した。
「ミューラス…フローディアと組んで何を企んでいる?」
「さぁ?一体何の事かしら」
ミューラスと呼ばれた女性も意味深な笑みを浮かべて椅子から立ち上がり部屋を出て行ってしまった。残された数人の人々は険しい顔をしながら二人の出て行った扉を睨みつけるようにして、いつまでも視線を外さなかった。
「愚かな奴らめ…少し魔力が強いからと粋がっておるだけじゃろう」
今まで手を重ねて会話を聞く側に徹していた最も年齢の高い男性が威圧感をたっぷりと含んだ声で他の者に目配りを行った。
「ヴァンパイアの始祖…奴を封じる鍵はまだ奴らの元にある」
「時は近い、ですな」
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