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あれが憐との出会いだったのよね……。
憐は無口だったんだけどだんだんと私たち家族には笑顔を見せてくれるようになったんだっけ?
相変わらず私の金魚の糞だったけど――…。
「…―き」
でもあの頃の憐はすご~く可愛いかったのよねぇ、睫毛長くて、こじんまりしてて、お目々パッチリで――。
憐「―きッ…さ…き!咲!」
咲「ん?」
憐「ぼぉとしやがって何回呼んだと思ってんだ」
咲「あら、おもいっきりトリップしてたわ」
私がそう言うと憐の眉間に深い皺が刻まれ、心配って言うより明らかに不機嫌になった。
咲「そんな顔しないの、昔の可愛い憐を思い出してただけだから」
にっこり笑ってそう言うと、そっぽ向かれちゃった。
この行動とる時は大抵照れてる時なのよねぇ、可愛い。
憐「アホか、着いたぞ」
昔は私の後ろをついて回ってあんなに可愛かったのに、今では何でこんなにも口が悪くなったのかしら?
目付きだってあんなに悪くなかったのに……。
咲「何だか残念だわ」
憐「何がだ?」
咲「あら、口に出てた?ごめんなさい何でもないのよ」
憐が怪訝そうな顔をしたけど、今私が考えたことそのまま言っちゃったらまた機嫌悪くなりそうだから黙っておきましょ。
車から降りて会社の中に入って行った。
中に入ると社員が次々と頭を下げていく。
まぁ一応社長、お父様の補佐ってことになってるから副社長と同じくらいの権限を持ってるのよね。
勿論社長の跡継ぎってのも実力あっての権限。
お父様ああ見えて厳しいからもし私が使い物にならなくなったら速攻会社から追い出されちゃう私だって色々と努力はしてるんだから。
会社には特別に私だけの部屋が用意されている。
こう言うところはお父様は甘いと思うけど、自分達よりも権限持ってる年下のガキが一緒に仕事するのも不愉快だろうと言う配慮の元用意された。
その部屋は仕事は勿論のこと一応寝泊まりができるようにシャワーとかベッドになるソファが置いてあるの。
大きな仕事が入った時はよくここに泊まって、ここから学校に行くのよね。
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