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二人の少年が薄暗い空間に並んで立っている。
二人共普段着とは言えないキラキラした服装で、それぞれの利き腕にはマイクが握られていた。
「なあ紘、これが終わったら暫く暇出来るけどさ。…何かするん?」
「そうやなあ…やっぱ釣りとかかなあ?諒君は何するの?」
「…何やろ?もう少し早かったらF1でも観に行ったんやけどなあ。」
「それ、今年も仕事で散々行ったやん。」
「仕事は疲れるて。やっぱプライベートで行かんと。」
「それもそやねー。」
そんな話をしていると、近くに居た女性が二人に向かって「そろそろお願いします。」と言ってきた。
「あ、はい。」
「解りました。」
そう言って二人は所定の位置に向かって歩き出す。どこからか黄色い歓声が聞こえてくる。
その歓声に向かって一歩一歩近付き、程なく二人は所定の位置に着いた。
「じゃ、思いっきりいこうぜ。」
「うん、皆に楽しんでもらわんとね。」
やがて最初の曲のイントロが会場内に流れると、黄色い歓声が更に高まった。
勿論それは、待機している二人にも聞こえている。
「行こう、諒君。」
「ああ。行くか、紘!」
二人は同時に「舞台」へ上がっていった。
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