一の巻

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芙蓉は女にでこピンをした     「そのにおい袋は道中の御守りさ。きっと彼にも会えるよ。」 「………あなたは不思議な人ですね」     女ははじめて笑った     「仙女ですか?」 「否、私は占い師だよ。ただのね」     そんな冗談めいた会話が終わると女は立ち上がった     「ありがとうございました」 「葬送になにもできなくて悪いね」 「いえ、お気持ちだけで」 「笑う門には福来たるだよ」 「えぇ」     女は姿をけした。      
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