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その晩
芙蓉は扇子を持って舞を踊っていた。
「芙蓉?」
「なんだい?」
秀麗が不思議そうな顔をして尋ねてきた
「どうしたの急に」
「気分だよ気分」
女のために葬送の舞を踊っているのだとは言わない。秀麗は追求せず、ただふーんとだけいった。
「今日もすごい人気だったわね」
「そうかい?」
扇子をたたむと椅子に座り、ぬべっとして月をみていた。
「西にひったくりの男がいれば追ってしとめ、東に夫婦喧嘩があればいって喝をいれ……そんな芙蓉はかっこいい!!なんて街中の女の子が男の人だって姉御!!とかなんとか」
芙蓉は苦笑するが、秀麗は面白そうに笑いながら話した。静蘭がいたら、そんなの大したことありません。などと妙な張り合いをあげているだろう。
「別に決めつるわけじゃないんだけど、ねぇ…」
「芙蓉ってなんでもできちゃうのね―占い師じゃなくて、仙人だったり!!」
「まさか。私はただの占い師だよ」
自称占い師、芙蓉の1日はこんな感じで幕をとじるのだった
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