一の巻

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その晩 芙蓉は扇子を持って舞を踊っていた。       「芙蓉?」 「なんだい?」     秀麗が不思議そうな顔をして尋ねてきた     「どうしたの急に」 「気分だよ気分」     女のために葬送の舞を踊っているのだとは言わない。秀麗は追求せず、ただふーんとだけいった。     「今日もすごい人気だったわね」 「そうかい?」   扇子をたたむと椅子に座り、ぬべっとして月をみていた。   「西にひったくりの男がいれば追ってしとめ、東に夫婦喧嘩があればいって喝をいれ……そんな芙蓉はかっこいい!!なんて街中の女の子が男の人だって姉御!!とかなんとか」     芙蓉は苦笑するが、秀麗は面白そうに笑いながら話した。静蘭がいたら、そんなの大したことありません。などと妙な張り合いをあげているだろう。     「別に決めつるわけじゃないんだけど、ねぇ…」 「芙蓉ってなんでもできちゃうのね―占い師じゃなくて、仙人だったり!!」 「まさか。私はただの占い師だよ」     自称占い師、芙蓉の1日はこんな感じで幕をとじるのだった      
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