ニの巻

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「悪かったね、柳晋。別にあんたをいじめたわけじゃないよ?」     ひねくれてしまった柳晋に芙蓉は優しく頭をなでてやった。秀麗がここにいたら確実に「柳晋で遊んだ」というに違いない―確かにそうなのだが―     「なー…いい加減芙蓉の占いで宝のありか探してくれよ」 「こーやって地道に探した方が面白いだろ?」     『できない事もないけどねぇ…いきなりどうしたんだい?』 『俺、こないだすごい事聞いたんだ!!』     宝探しの話を聞いたとき芙蓉は占いを断ったのだった。     「そもそも、その話本当かい?聞いた事ないんだけどねぇ…」 「本当だって!!和尚様が秀麗師に話してたんだよ!!」 「私も聞いたんだよ!!」     柳晋と葉流が力説する。   (しかし、まぁ…秀麗が関わってるとねぇ……)   おそらく、和尚と歴史の話でもしていたのだろう。金が関わると若干、人が変わる秀麗だ。妙に熱く語っていただろうと思うと、なぜだかため息をつきたくなる芙蓉だった。     「この辺を縄張りにしていた将軍が、戦に勝ってしばらくしてから…奥さんに内緒でヘソクリを隠した、なんて…」 「将軍のヘソクリなら金銀財宝に決まってんじゃん!!」     目を輝かせる柳晋だった    
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